resources/network



沖縄の歴史的背景や社会性、自然環境は他の地域とは異なり、多様でクリエイティブな環境ともいえます。こどもたちの学びは学校教育に限らず、学校・地域・家庭の中で実践されているところに着目し、学びの環境構成や芸術の有益性が、どのように主体性や創造性に結び付いていくか、沖縄で実践している団体にヒアリングを実施し、検証していきます。




アーケイド



意味不明な提案をしたりしながら、安全と冒険の工夫をつづける

平岡昌也 Masaya Hiraoka 美術家・アーケイド代表


文字は書き順もバランスも教わった方が良い。作法の習得だから。絵は教わらない方が良い。作法の習得ではなく、感性や嗅覚を育む【遊び】や【冒険】だから。抱いたことのない新しい感情や感覚を味わう体験(感性の領域の拡大)を大切にしている。時には「スライムでスライムじゃないものをつくろう。」とか意味不明なことを言いながら。
気持ちが安心できてウキウキするようなアートの冒険が大事。はじめてのおつかいのような関係で電信柱からのぞいているような、そっとという距離感がある。先生達も自分の絵を描いている時も沢山あるし、聞きたかったらつくっている先生に「ねぇねあのね」と声をかけるような場になっている。

【プロフィール】
1980年福岡県生まれ。ウチナームーク。ARCADE代表。沖縄こども美術教室主宰。うるま市の保育園にてアートクラス担当。アートの原体験は幼稚園に画家さんが教えに来てくれていた頃。絵を描いた感覚は鮮明に覚えているが画家さんの記憶が全くない。まさにそれが理想。


https://www.koza-artschool.com




コスモストーリー保育園



こどもたちの生活を文脈の中で評価する

天願順優 Junyu Tengan

こういうことをやってみたいという気持ちが生まれて創造につながっていく。あるときは、「鳥さんのおうちはどこなのだろう?」という子どもの疑問から鳥の巣プロジェクトがはじまった。子どもの鳥の巣をつくりたいという思いを大切にしながら進めていった。どの木に鳥の巣をつくったらいいのかな。どんな形がいいのかを描いて、ロケット型の鳥の巣とか、屋根がないT字型の鳥の巣のほうがくるのかなとか。
自分の描いた鳥の巣を設計図にしながら木材を組み立てていった。園庭に5、6カ所あるんですよ。どの木にどの高さで設置した方がいいかなと。こどもの声を聴きながら活動を展開していくと大人の固定観念が崩されて創造的な活動に繋がっていくと感じる。子どもと共に探求することを大切にしていきたい。

【プロフィール】
1984年沖縄県うるま市生まれ。コスモストーリー保育園園長。三兄弟の真ん中。自然という原体験は中学の時、友達と自転車で、源河川を目指して早朝出発したが、到着は、夜になってしまう。泣きそうな私たちを、満天の星空のような蛍の光が癒してくれたこと。


https://www.cosmo-story.okinawa



スタジオ解放区









自由に生きる、
こどもたちの時間にインスパイアされた

林僚児 Ryouji Hayashi

当時会った子は、今の現代っ子と違って、過保護ではなくて、割とこどもの力で生きている。ほったらかされている分、親が管理する時間があまりなくて、逆に自由で。それで自分たちで面白そうなものを街で発見して。銀天街で自分たちみたいな、ないちゃーがいて、面白い訳じゃないですか。一緒に何かやっているときに創造力とか面白いなっと。自分たちもアーティストで創造性について考えているときに、自分で勝手にきて、面白いもの探して、主体的に自分で何かやりだす子たちの創造性にすごくインスパイアされた。銀天街という場がぽっかり忘れられたような空間。そこにこどもたちもいやすかったし、学校や家庭じゃない第三の場所みたいな。

【プロフィール】
1978年長野県生まれ。東京造形大卒。コザ・銀天街を拠点に老若男女の美術庭「スタジオ解放区」。AAF2005~2016。淡路島など各地でアートプロジェクト。原体験は小学校時代のいろんな遊び、こどもたちだけでつくった自由な時間。



アートプロジェクトはみんなの記憶の発表会

林千夏 Chinatsu Hayashi

銀天街にはいろいろなキャラの人がいるので、来てくれた人との会話の中で、この人とこの人があわせたら面白いかもと思い二人をあわせたら、話がどんどん進むという場面をよくみてきた。例えば、うちなーぐちを研究している子が、自作の絵本を銀天街で展示していて、話したら銀天街を舞台にうちなー芝居を一緒にやることになった。琉球大学のゼミでパフォーマンスをやりたい子のバックボーンを聞いたら黒人街のあの場所がいいと伝えた。
来てくれた人のキャラと個性が、自分には表現できないフィールドだったりすると、こんなこともできるかもしれないというすごくワクワクしていた。そういう日々が楽しかったです。
*スタジオ解放区はアサヒアートフェスティバルの助成を受けて毎年アートプロジェクトを開催していた。

【プロフィール】
1978年生まれ。小さい頃から絵を描くことが好きで、自然に美大に進み、縁あってコザの街と出会い活動を行った。現在は長野県在住。原体験は、秘密基地も満足に作れない東京の郊外で育つなかミヒャエルエンデのはてしない物語を読んだ時のドキドキ


http://kurosio.blog4.fc2.com




公益財団法人沖縄こどもの国



本物をみるということは、その子だけの体験

金尾由恵 Yoshie Kanao

動物園には、1種の保存・自然保護 2教育普及 3研究 4レクエーションという4つの社会的役割があります。生き物調査隊も自然へ興味を持つきっかけとして実施しています。最近はYoutTubeの映像や誰かが撮った写真などインターネットで探したものを参考に、絵を描く人がおおいですが、映像なり写真に対しても撮影した人の視点が入るので、二次創作にしかなりません。本物を見て、その人自身が受けた衝撃を形にしている作品などは見るのが楽しくなったりします。動物のこういう所見ているんだ!とか。自分が体験して感じた「思い」は大切にしてほしいですね。*生き物調査隊は2016年から沖縄こどもの国で実施している教育プログラムです。

【プロフィール】
動物のことが勉強したくて2000年に大学入学とともに来沖。卒業後に沖縄こどもの国に就職、飼育員を経て、現在は教育普及&広報を担当。小さい頃から動物が好きでおばあちゃんの畑仕事についていってはそこらの生き物を探して遊んでいたことをすごく覚えてる。


https://www.okzm.jp




理学博士


自然の捉え方は地域によって違う

佐藤寛之 Hiroyuki Sato

人間の価値観はその人が住む緯度や海流がすごく影響している。緯度が低い場所では日照時間が長く、太陽の恵みが当たり前にある一方、緯度の高いところでは日照時間が短く、得られる恩恵も少なくな
る。
また大きな海の流れに寒流と暖流がある。暖流は常に周りの陸地を温めることで、今いる場所より低緯度にいるのと似た効果を得られる。寒流はその逆の寒冷化させる効果がある。例えば暖流が流れている地中海地域は北海道より高緯度に位置するがほかの欧州地域より温暖な気候となっている。
こうした自然環境の「当たり前」の違いが住む人の価値観に強く影響を与える。日本の中でも低緯度にあり黒潮という暖流が流れている私たちは基本的に楽天家になる要素が多いのだ。

【プロフィール】
1973年東京下町生まれ。生き物の研究がしたくて沖縄に。大学院修了後フリースクール、大学、環境関連のwsの現場で身近な自然の面白さや価値、暮らしの中での付き合い方などを地元の人に伝えるべく活動をしている。




那覇造形美術学院


学ぶ姿勢を身につける知識を得る喜びから、学ぶことに関心をもつ

黄金忠博 Tadahiro Kigane

小学校のときに、学ぶということがどういうことで、学ぶということに対して、姿勢を身につけることが重要。知識を得ることが嬉しくなり、自発的に本を読んだり、調べたりする行為を学ぶ姿勢だと思っている。学ぶ姿勢を身につける時期が小学校時代。図画工作など自発的な行為なはずなのに、先生に「空の色はこんな色じゃない」と言われたらやりたくなくなる。小学校の先生は美術の専門教育を受けていないので客観的な判断が出来ず、先生の個人的な感覚だけで伝えてしまうから、こどもたちが自発的な発言が出来なくなっている。“成績”が対話できない環境をつくっている。

【プロフィール】
1968年北海道生まれ。沖縄県立芸術大学絵画専攻油画コース卒業。2001年、那覇造形美術学院を那覇市大道に芸大美大受験予備校として開校。2014年、那覇市古波蔵に移転した際、こどもアトリエネロを開設。学びの原体験は自分が美術予備校に通っていた時に経験したこと。


http://www.nahabi.com



組踊実演家・
沖縄県立芸術大学講師



古いことをいかに伝えるかという
工夫の中に「発展」がある

神谷武史 Takefumi Kamiya

芸能は、これまで対面による指導が重視されてきた。携帯電話等通信機器の発達により、その動画アプリを活用し、収録した映像を基に習得、復習するなど稽古の在り方にも変化が生じている。今般のコロナ禍においても、稽古場を閉めていても、映像をとおして師事が行われることもあった。社会環境に応じ、「指導法の工夫」は伝統の進化と考える。
また地域行事で演じられる芸能の継承を目的とした地域の芸能団体等の観光や教育など、社会包摂的な活動への参加促進も伝統文化の発展と考える。しかし、その場合、地域外での出演に対する不安、不満など地域間の理解、予算面、地域へのメリットなど課題は多様だが、それを超える効果や価値を示すことで継続性が増すだろう。

【プロフィール】
1975年沖縄県八重瀬町(旧東風平町)生まれ。地域の豊年祭に組踊で出演した際、台本を手に指導するおじいの姿に魅了される。高校野球を辞めて琉球芸能の世界へ入ったのが転機となった。地域住民の絆を繋ぐ伝統行事を絶やしたくない。



美術家・琉球大学名誉教授



教師がまず創造的になることが必要で、
創造しようとする行為が未来をうむ

永津禎三 Teizo Nagatsu

学びは一生つづいている。けれど、学びは学校で教えてもらうと思っている人は多いよね。小学生の頃、詩を読む授業で先生の解釈が自分と違う、詩人が見ていた景色って先生が話すのと違うんじゃないか。そういう違和感を持ったことがあった。大学院の頃、テンペラを始めたけれど周りに教えてくれる人がいなくて全部本から学んだ。そうすると失敗が多い。でも失敗が勉強になる。続けるとなぜ失敗したのかがわかってきて、新しい方法も見つかるようになる。結局自分で学ばないと始まらない。教えられることは自分が大切にしているこ
ととちょっと違うし。

【プロフィール】
1953年名古屋市東区生まれ。実家は借家だったけれど、物凄く庭が広かった。自転車で走り回れるくらいだった。伊勢湾台風の後、板塀が全部吹き飛んでいて、通りが全て見渡せて、ああ世界って広いんだと思った。高校3年生で画家になろうと思い、1982年に沖縄に来てずっと作品を作り、今はポジャギを作っています。


https://www.teizomasakin.com



いろんな場所で生まれる美術



試す、創り出すこと自体の価値を
認める環境づくり、面白がる環境づくり

小橋川啓 Kei Kobashigawa (特別支援学校教諭)

創造性といわれたときに環境は重要で、それは人とかモノも含まれる。カリキュラムが人をつくるというより、カリキュラムと環境がセットになって人を作るんじゃないですかね。たぶん。実践からいうと、ICT(情報通信技術)も使える環境で学べるようにしたいなと考えたときに、機器がないとできないという話しになって、ハードも整えながら、中身もつくりながら進めるようなことをしています。人もそうだと思うんですけど。そこらへんを整えながらやっている感じですね。

【プロフィール】
1983年 沖縄生まれ。琉球大学教育学部美術教育専修卒業。特別支援学校教諭。
2008年~美術/教育をめぐるプロジェクト「いろんな場所で生まれる美術」を戸ヶ瀬哲平と始動。ワークショップ・イベントなどを行う。
原体験は田んぼや空き家や屋上で遊んだこと、かな。

https://ogidou-kaiduka.jimdo.com



アーティスト・中学校教諭



自分だけの答えをみつけだしながら、
疑問をもってほしい

花城勉 Tsutomu Hanashiro

アートが多くの人々に浸透してこなかった要因の一つに、技術偏重であった美術教育がある。もっと根本的な美術教育・アートを教えるべきじゃないかなと思っています。その一つが鑑賞教育。多くの作品に触れ、その作品から思考し、イメージを広げ、自分なりの発見や疑問を持つ。学びとは何か?といったら、発見であったり疑問であったり、自己肯定感を育むこと。今は正解か、間違いか、二者択一なところがあるんだけど、自分だけの答えを見つけだしながら、何かいろいろなものを感じとってほしいし、疑問をもってほしい。その観る目を育むことがアートの浸透に繋がり、また、子ども達の考える力、生きる力に繋がると思う。

【プロフィール】
1966年那覇市生まれ。美術予備校講師、高校美術教諭を経て現在中学美術教諭。教師とアーティストとの二刀流を実践中^ ^幼少の頃の原体験は、自動車解体所や建築現場等が遊び場。鉄や錆等の素材への興味やプロセスの大切さに繋がっています。




美術家・中学校教諭





生活の至る所に美術との関連性がある

浦田健二 Kenji Urata

小学校の図工においては、必ずしも専門の知識や技能を持っている人が教える訳ではない。また高校では、芸術科目の中の一つとして美術が扱われる事が多く、全ての生徒が美術を学ぶわけではない。中学校というのは、美術を専門的に学んだ先生の下で、全ての生徒が美術と触れ合える最後のチャンス。美術なんて知らない、よくわからないという生徒に「あれも美術だよ。これも美術だよ。」と授業の中で気付かせていく。社会や生活の中に、いかに美術が溶け込んでいて、生活を豊かにしているのか?を実感させ、接続していくところから始めている。授業を受ける前の生徒には「美術は美術館の中にあるものだ」と考えて、距離感を感じている生徒も多い。しかし、デザインや現代アートなどの要素を含んだ、僕が用意した中学校3年間の授業を理解してもらえれば、生活の至る所に美術との関連性があるんだ、ということをわかってもらえると思っている。

【プロフィール】
1984年沖縄県生まれ。皮膚病の悪化がきっかけで小・中学校を不登校で過ごすが、その間にWEBサイト上での創作発表を開始する。この頃の体験が、美術によって他者と繋がることの喜びとなり、現在へと繋がっている。現在は中学校の美術教諭として勤務する傍ら、作家活動を行なっている。




しまぶく学童クラブ


















遊びは自分自身が解放されるような経験

神田慎也 Shinya Kanda

学童で大事にしていることの中で、自分の経験では遊びと自然がベースになっている。遊びは、自分自身が解放されるような経験。自然は、裏山で基地づくりをしたとか、たのしかった原体験がそこにある。においとか五感を使ってあそんでいたとういのが、それが、そのまま沖縄でやっていることになる。そこで、山の中に隠れて気持ち良くて安定するとか、高学年になってやったし、泥水の中でじゃぶじゃぶ遊ぶとか幼稚園のときやった。おばあちゃんが福島だったから環境が豊かで、里帰りという形でいく夏の田舎の風景とか、今振り返るとつながっている。

【プロフィール】
1983年神奈川県生まれ。一般社団法人千和代表。男二人兄弟の次男。高校2年の修学旅行で訪れた沖縄でじんぶん学校で出会う。高校卒業後沖縄へ。現在、法人代表として学童クラブを運営している。仲間という原体験は裏山で洞窟を掘り火遊びをしたこと。



創造性とは対立する概念があるから
うまれてくるもの

名嘉みちる Michiru Naka

学童ではまったく違う自分と違う他人がいるから、パチパチやった後も、こいつと一緒にいなければいけないという枠組みがあって、逃れられないからどうしようと考えて、なんか、違う方法、妥協点みたいなのを一生懸命探す。そんな中、抑圧するとか対立する中でうまれでてきたものが創造性。いろんなメンバーがいて否定するやつもいれば、すごいなあと認めるやつもいて、こうしたらとか。第三者がでてきてこれがいいかもとかもある。じゃあ、そうしよう!と生まれてきたものが創造性だったりする。一人ひとりの創造性とみんながふくらましてもちあう創造性は全然違う。一人だと独創性。みんなだと創造性。

【プロフィール】
1980年沖縄生まれ。沖縄文化(先祖崇拝など)が色濃く残る家庭環境の影響で、周囲との違いを感じながら育つ。民族学、文化人類学、心理学、福祉学と学びを横断的に進め、「学ぶとは」「人とは」「生きるとは」を追求中。



本人の意思とは関係なく成長させられている

花城龍雄 Tatsuo Hanashiro

集団生活、この異年齢の中で育まれるものって、目にはみえないからこそ、学習塾的なものと対照的にならない。これが良いという言い方をされるときもあるし、悪い言い方をされるときもある。
どちらかというと学校が教育であるならば、学童は学びの場。守ってくれる人、父ちゃん母ちゃんがいない中で、自分がいうことややることの責任を背負わされるのが学童だからこそ、無意識や無自覚にやっていることが責任で取らされている自分がいて、そこで学びつづける本人がいる。本人の意思とは関係なく成長させられている。だから、どんな環境にするかがその支援員ひとりひとりの力量というか組織の話しになってくる。だから、形がないっていい言い方もするけど、形がないから悪いようにも捉えられる。ほんとにむずがゆい。

【プロフィール】
1976年生まれ。教育委員会、保育園、幼稚園、学童、放デイ、保育士免許で自分にできる事、自分で居られる場所を探し続けて見つけた学童の世界。掘れば掘るほど周りの砂がこぼれてくる学童にハマった。


https://chiyori-gakudouclub.com




美術家



もっと当たり前に表現することについて
いろんな人と話したい。

平良亜弥 Aya Taira

作品制作で大事にしていることは、今ある目の前のことがどのようにしてかたちづくられてきたのか、人だけではなくて、いのちが脈々と続いてきたことに向き合うこと。思い起こしたり、考えたり、忘れないための時間。だから、制作自体はきついこともある。
展覧会を通して、アートが身近に感じてもらえるといいなというのはずっとある。でも、作品鑑賞自体に緊張を感じている人たちが実際は多い。何かわらないけどリラックスできる、そんな環境に作品がある、そういう空間づくりは意識しているつもり。リラックスしていれば、何かしら言葉がでてくる可能性があるはず。もっと当たり前に表現することについていろんな人と話したい。緊張しすぎない、作品がある、おしゃべりができる、そこに美味しいものがあれば、最高だな。

【プロフィール】
1981年那覇市生まれ。インスタレーションやパフォーマンス作品を制作。うちなーぐち演劇集団「比嘉座」メンバー。幼少期、同じ団地のお姉さんの家によく遊びに行っていたことは、現在の何かにつながっているかもしれない。




若狭公民館











アーティストが物事を捉えて、
展開して、形にしていくってすごいなぁ

宮城潤 Jun Miyagi

アーティストとともに活動しているとそのエネルギーの高さに驚かされます。制作にあたり多様な視点でリサーチし、イメージを具現化するためさまざまな要素を丁寧に構築していきます。そのエネルギーの使い方や覚悟の決め方を見ているととても真似できないと思います。物事の捉え方もユニークで、あるモノやコトを別の価値に転換させていく一連の流れを見ていると、やっぱりすごいなぁ、と感心するし、それがとても楽しく感じます。この物事をさまざまな角度から捉える視点や多くの要素を再構成し新たな価値を生み出していく力は、美術作品というアウトプットだけではなく、社会におけるさまざまなところで生かせると感じています。アーティストが社会のいろんなところに関わっていくことでより豊かな社会を創れるのではないかと妄想しながら、いろんな取り組みにチャレンジしています。

【プロフィール】
1972年生まれの復帰っ子。2001年前島アートセンター設立に参画、初代理事長。
2002,03,05,08年に開催したまちの中のアート展「wanakio(ワナキオ)」で共同ディレクターを務めた。2006年より那覇市若狭公民館に勤務、現在は指定管理者の館長としてアートと社会教育に関わる活動を展開している。



アートは、誰にでも関わることができるもの

新垣香乃実 Konomi Arakaki

私が担当している「アートな部活動」は、アーティストを顧問に招いた社会教育プログラムで、創造的でユニークな活動を通して新たな人的交流を生み出すことを目的としている活動。加えて、アートをもっと身近に感じてほしいという思いがある。アーティスト顧問の方も、“アートには答えがないから自由だよ”ということをよくおっ
しゃっていたが、わたしもアートと聞くとちょっと畑違いというか難しそうだなと感じていたので、少し戸惑いながら入部してくる部員の気持ちがとても理解できた。普段美術館にいく機会が少なく、あの厳かな雰囲気がなんだか立ち入ってはいけないような・・・作品をみてもなんの絵なのかよくわかんなくて自分に感性ないんだなぁという気持ちがもっと“アート”を遠ざけていたと思う。
でも最近は、“アート”は思っていたよりも難しいものではなく、生活の中に身近にあるもの、誰にでもかかわることができるものなんだなぁって、活動を通して感じています。

【プロフィール】
1993年沖縄県生まれ。大学で県内の海外移民について研究し、卒業後に南米・北米に世界のウチナーンチュに会いに行く旅にでる。多文化共生のまちづくりを目指して、若狭公民館に勤務しながら地元で日本語サークルを運営している。


https://cs-wakasa.com/kouminkan




珊瑚舎スコーレ










沖縄が持つ場の力をかりて、
小さな学校をつくっています

星野人史 Hitoshi Hoshino

学校はそこで過ごす者たちが互いの名前を知り合える規模の空間がいいと思っています。仲のいい者、ちょっと気の合わない者とも互いに顔を突き合わせ、交流する機会が大切です。学校づくりには沖縄が持つ場の力をかりています。沖縄は明治以降、日本に併合されヤマトゥ化されていく中、沖縄のアイデンティティを考える人たちが身近にいます。また、沖縄が育んだ独自の文化があり、それらに触れることが生徒たちの世界を広げることにつながります。沖縄の人々が持つ心暖かさは、人間関係に悩んでいる子供たちにはとてもいい影響を与えてくれます。等身大で互いに向かいあうことで、人が生きるということの尊さを醸成していくのが学校。その答えは点数ではなく生徒の姿の中に現れてくるものです。

【プロフィール】
1948年東京都出身。生徒が主人公の小さな学校作りのために私立高の校長を退任し、1997年沖縄に移住、ゼロからの学校づくりを始める。2001年珊瑚舎スコーレ開設。珊瑚舎スコーレ夜間中学校・初等部・中等部・高等部校長。



環境をつくり続けていくことに
軸をぶらさず徹底する

遠藤知子 Tomoko Endo

年に2回、生徒たちが授業検討会を開いています。まず生徒だけ、次は教員も一緒に。生徒が授業の検討をし、教員の教え方・進め方などについて批判や提案をまとめます。それを検討資料として教員に届けます。それを資料に生徒・教員がお互いに話し合います。生徒の声、とても教員に響きます。また、年に1回生徒自身も授業を作ります。教員は一切口を出しません。生徒がやりたいことは何でもいいので、テーマは20、30出ます。話し合いをしてその中から実際にできるもの2つくらいに絞ります。教員の注文はただ一つ。インターネットや本で調べればわかるような授業だと、授業に参加した甲斐がないからね。と伝えています。生徒の作る授業から教員も一杯もらうものがあります。

【プロフィール】
1951年岩手県出身。2001年3月、珊瑚舎スコーレ開設に合わせ高校の教員を辞職し沖縄に移住。以後、珊瑚舎スコーレ講師・事務局スタッフとして勤務。読書好き、映画好き、野草雑草好き(手折った花をお似合いの花活けに挿します)。


https://sangosya.com



literature

参考文献、創造性を育む学びの環境についてなど、関係のあるテーマについての様々な文献をを紹介しています。




参考文献
『復帰 50 年 沖縄子ども白書 2022』かもがわ出版 (2022)

ミヒャル・エンデ『モモ』大島かおり訳 岩波少年文庫 (1976 原著は 1973)

佐藤 学 (監修), ワタリウム美術館 (編集)『驚くべき学びの世界―レッジョ・エミリアの幼児教育』 (2011)

1000 の子どもに 1000 の可能性 〜民間人校長の子どもの可能性を開く授業づくり〜 横山芳春、ジアース教育新社、(2007/12)、東京

ブルーノ・ムナーリ『ファンタジア』萱野有美訳 みすず書房 (2006 原著は 1977)

西村佳哲『かかわりかたの学び方』筑摩書房 (2011)

平田オリザ『わかりあえないことから - コミュニケーション能力とは何か』講談社 (2011)

ブルーノ・ムナーリ『ファンタジア』萱野有美訳 みすず書房 (2006)

小杉英了『シュタイナー入門』筑摩書房 (2000)

太田裕子『はじめて「質的研究」を「書く」あなたへ - 研究計画から論文作成まで -』東京図書株式会社 (2019)

『「沖縄子ども白書」地域と子どもの「いま」を考える』
編集委員会、出版社 : ボーダーインク (2010)

堀 真一郎『自由学校の設計―きのくに子どもの村の生活と学習』 黎明書房 ; 増補版 (2009/07)

スプリー・ティトゥス『自然に・で・から』(2009-2011)

スプリー・ティトゥス『Creative Leraning Environment』(2009-2014)

子どもの可能性を拓くアートの力 トヨタ・子どもアーティストの出会い in 沖縄 (2005-2007)




General Educational Knowledge
Cadwell, Louise Boyd, "Bringing Reggio Emilia Home: An Innovative Approach to Early

Childhood Education", Teachers College Press: New York, 1997

Baldini, Rolando, Ilaria Cavallini, Peter Moss and Vania Vecchi, "One city, many children - Reggio Emilia, a history of the present", Reggio Emilia, Reggio Children Publisher, 2012

Dewey, John, "Art as experience", New York, 1934

Dewey, John, "Experience & Education", Kappa Delta Pi, 1938

Egan, Kieran, "The Educated Mind - How Cognitive Tools Shape Our Understanding", Chicago, The University of Chicago Press, 1997

Filippini, Tiziana, Claudia Giudici and Vea Vecchi, "Dialogues with places", Reggio Emilia, Reggio Children Publisher, 2008

Lave, Jean and Etienne Wenger "Situated learning: Legitimate peripheral participation", New York: Cambridge University Press. 1991

Lillard, Angeline Stoll, "Montessori: The Science Behind the Genius", Oxford University Press, 2008

Montessori, Maria, "The Montessori Method", Redford, Wilder Publications, 2009 Wilson, Frank R., "The Hand", New York, First Vintage Books Edition, 1999

About Project Studies:

Drützler-Heilgeist, Marthamaria; Lautenbach, Anja, "Betrifft Projektarbeit: Selbständig arbeiten in der beruflichen Bildung: Selbstständig, methodisch, kooperativ / Arbeitsbuch", Bildungsverlag Eins; 2010

Frey, Karl, "Die Projektmethode: »Der Weg zum bildenden Tun«", Weinheim und Basel, Beltz; 2012

Klein, Kerstin, "Lernen mit Projekten: In der Gruppe planen, durchführen, präsentieren: In der Gruppe planen, durchführen und präsentieren", Mühlheim and der Ruhr, Verlag an der Ruhr; 2008

Nohl, Florian, "Der Projektunterricht - Grundlagen, Materialien, Bewertung", Aol-Verlag in der Aap Lehrerfachverlage Gmbh; 2012

Raub, Silke, "Projektarbeit erfolgreich gestalten: Über individualisiertes, kooperatives Lernen zum selbstgesteuerten Kleingruppenprojekt", Bad Heilbrun: Verlag Julius Klinkhardt; 2012

Traub, Silke, "Projektarbeit - ein Unterrichtskonzept selbstgesteuerten Lernens? Eine vergleichende empirische Studie", Julius Klinkhardt, 2012




About Project Studies
Drützler-Heilgeist, Marthamaria; Lautenbach, Anja, "Betrifft Projektarbeit: Selbständig arbeiten in der beruflichen Bildung: Selbstständig, methodisch, kooperativ / Arbeitsbuch", Bildungsverlag Eins; 2010

Frey, Karl, "Die Projektmethode: »Der Weg zum bildenden Tun«", Weinheim und Basel, Beltz; 2012

Klein, Kerstin, "Lernen mit Projekten: In der Gruppe planen, durchführen, präsentieren: In der Gruppe planen, durchführen und präsentieren", Mühlheim and der Ruhr, Verlag an der Ruhr; 2008

Nohl, Florian, "Der Projektunterricht - Grundlagen, Materialien, Bewertung", Aol-Verlag in der Aap Lehrerfachverlage Gmbh; 2012

Raub, Silke, "Projektarbeit erfolgreich gestalten: Über individualisiertes, kooperatives Lernen zum selbstgesteuerten Kleingruppenprojekt", Bad Heilbrun: Verlag Julius Klinkhardt; 2012

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On Embodied Cognition
Barras, Colin, "Want to learn quicker? Use your body", BBC Future, 2014 - http://www.bbc.com/future/ story/20140321-how-to-learn-fast-use-your-body

Cook SW1, Mitchell Z, Goldin-Meadow S., "Gesturing makes learning last.", Cognition. 2008 Feb;106(2): 1047-58. Epub 2007 Jun 11.

Pulvermüller, Friedemann, "Brain mechanisms linking language and action", NATURE REVIEWS | NEUROSCIENCE Volume 6, July 2005, pp 576 - 582

Dragan Trninic, Dor Abrahamson, "Embodied Interaction as Designed Mediation of Conceptual Performance", Visual Mathematics and Cyberlearning, Mathematics Education in the Digital Era Volume 1, 2013, pp 119-139





About Nature and Education
Biermann, Christine (Author); Bosse, Ulrich (Editor), "Natur erleben, erfahren und erforschen: mit Kindern im

Grundschulalter", Klinkhardt; Auflage: Impuls Laborschule, 2013
Cornell, Joseph, "Mit Cornell die Natur erleben: Naturerfahrungsspiele für Kinder und Jugendliche - Der

Sammelband: Naturerfahrungsspiele für Kinder und Jugendliche", Verlag an der Ruhr; 2006
Danks, Fiona, "Spielplatz Natur: Mit Kindern die Natur spielerisch entdecken, erleben und gestalten", AT

Danks, Fiona, "Wildnis erleben: Praktische Anleitungen für Outdoor-Aktivitäten mit Kindern undJugendlichen", AT Verlag; 2009

Danks, Fiona; Schofield, Jo, "Werkstatt Natur: 101 Ideen zum Spielen, Gestalten und Werken in und mit derNatur", AT Verlag; 2010

Louv, Richard, "Last Child in the Woods: Saving our Children from Nature Deficit Disorder", Chapel Hill: Algonquin
Books, 2008

de Quetteville, Harry, "Waldkindergärten: the forest nurseries where children learn in Nature's classroom", The Telegraph, 2014 - http://www.telegraph.co.uk/education/3357232/Waldkindergarten-the-forest-nurseries- where-children-learn-in-Natures-classroom.html








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本研究は琉球大学 SDGs 社会課題解決研究プロジェクト経費の助成を受けたものです