c l e concept






創造的に学ぶ環境の図

21世紀を生きる私たちが直面することは複雑な課題ばかりです。複雑な課題とは、世界で起きている様々な社会の矛盾の表象となり、私たちの生活に浸透しています。持続可能な社会という言葉世界共通で使われるよういなり、世界基準での変化が求められることを学ぶ一方で、身の回りでは開発が当たり前に進んでいる状況があります。







このような課題に向き合うための大きな手がかりに創造性があります。創造性という能力は、人間が本来持っている特性のひとつです。人類がそれぞれの多様な自然環境の中で試行錯誤して生活してきた日々の中で培われた文化は、人間がもつ創造性の力の表象の歴史といえるでしょう。そして多様性が求められる今、創造性は予測不能な未来を導く力として求められています。




果たして創造性を育むために、教育は今のままで良いのでしょうか。CLEでは、固定化された教育の価値観やシステム化された社会に対して問いをたてながら、豊かな地域性を主体にした学びの可能性の在り方について考えていきます。



これまで教育は、子どもたちが成長を育むために必要なカリキュラムやプログラムをつくることに着目されてきました。CLEでは、創造性を育む学びのあり方として、カリキュラムよりも環境をつくることを目指します。環境とは、人間や生物を取りまく、周りの状況をいいます。私たちは人間のとりまく周りの状況として地域や社会があります。生活の中で見てとれるように、私たちが生きる現代は、環境が急速に変化する時代を生きています。では、100年で学びの環境はどのように変化したのでしょうか。




学びの環境の変容
イラスト


沖縄オルタナティブスクールの実践研究の際に作られた学びの環境についてのイラスト(2014年)


Soundscape Okinawaというアートプロジェクトの元に絵描かれた創造性を育む学びの環境







c l e research





Creative Learning Environmentの研究について


90年代後半からアートプロジェクトに教育的な概念を取り入れる経験がきっかけとなって、その後、琉球大学教育学部美術教育にて創造性を育む学びの環境づくりについての研究がスタートした。



創造的なプロセスのキュレーションから始まる学びの環境づくり

私たちの研究は、すぐに結果を出すことやデータをとって現象を照らし合わせる作業とは少し違います。環境づくりのテーマに沿って研究の目標に明らかなゴールを設定するのではなく、実践の場になっている地域社会と対話しながら、方向性や適切さを確認した上で次の展開を決めていきます。



実践してみて、みえてきたこと








このような研究手法も数々の実践から学びえたものです。





2007年 銀天大学

琉球大学美術教育の出前授業として沖縄市銀天街や照屋地区で行われたプロジェクト型実習。まち歩き、地域調査、表現活動を結びつける場所や地域社会と対話しながら、まち中の展覧会やプロジェクト型実習を実践しました。

▪️自然に・で・からの写真
2009−2011 自然に・で・から

琉球大学美術教育と沖縄オルタナティブスクール、森のみんみんという那覇市の環境教育施設とのコラボレーションで行なった芸術・環境教育・理科を繋げる沖縄の環境に溶け込んでいるイマージョン教育の実践研究。プロジェクト・ベース・ラーニング(PBL)の概念も取り込んでいます。







2009-2014 おるた/Creative Learning Environment

CLE(創造的学ぶ環境)という概念を明らかにした沖縄オルタナティブスクールで行った実践研究。沖縄の様々な場所で行うプロジェクト型実習モデルを報告書でまとめました。




対話・考察・実践・振り返りを繰り返す




これらの経験から、学びの多様な場面をまとめるものとして学びのサイクルがあることがわかりました。創造的な環境で育む学びは、総合的な経験が次々と発生し、いつも同じスタート地点に戻るのではなく、螺旋のように学びによって人間の意識やアイデンティティを再構築する経験となります。学びの多面性につながる研究方法を本研究で実践していくのは、一つのチャレンジでもあります。

c l e & art





創造性を育む学びの環境 & アートプロジェクト

アートプロジェクトとは?

私たちの研究では、アートプロジェクトという概念を教育現場に導入し、「Learning by doing - 実践しながら学ぶ」を地域の人たちと協働で行い、「Learning by creating - 創造しながら学ぶ)」につなげるクリエイティブな学習環境の構築を行なっています。アートは 、自ら選択したトピックを深く考察するための手法であり、私たちはアートをある特定の環境、この場合は沖縄で見られるユニークで非常に豊かな自然・文化環境に学習者を没入させるための手段と捉えています。

アートプロジェクトをどのように活用していくか?

研究2年目においては、最初の実践段階として、2つのモデル的なアートプロジェクトを実践し、問題点と可能性をより深く理解するための手段として、地域社会と対話しながら研究を発展させ、地域ネットワークを構築することに焦点を当てました。沖縄県の北中城村と南城市という2つのエリアを設定し、従来の教育機関との連携を図りながら、創造的な学習環境を整備していきます。




Maejima Art Center
2001
Soft City
2018
Art Naha
2022


様々なアートプロジェクトのシーン


【現代アートの用語解説】

■Art Project アートプロジェクト

アートプロジェクトとは、独自の視点で獲得したヴィジョンや想いや社会(鑑賞者)に向けて投影、交換する機会そのものをクリエーション&プランニングすること。明確なテーマのもとに数多くの人々が集い、協働体制で進めていくケースが極めて多い。なお、表現活動の場は芸術文化施設よりむしろ、オルタナティヴ・スペースやまち全体或るいは一区域という壮大なスケールなものまでバラエティに富む。アートプロジェクトは、はっきりとした解を導きだしたり、それを完結させることのみを目標とせず、アートという手法で想像力を鍛え、様々な問題提示をするプロセスを大切とする。また、開期が終了してもこの取組みにより形成された積極的なネットワークこそが大きな成果なのである。

【豊原正智・谷悟(2002) ”アートプロジェクト”という名の回路--相互触発を生じさせるための構想と実践-- 大阪芸術大学紀要】 






■ Socially Engaged Art
ソーシャリー・エンゲイジド・アート

アーティストが対話や討論、コミュニティへの参加や協同といった実践を行なうことで社会的価値観の変革をうながす活動の総称である。
【artscape:Artwords】


■ Site-Specific Art
サイト・スペシフィック・アート

芸術作品やプロジェクトの性質を表す用語で、その場所に帰属する作品や置かれる場所の特性を生かした作品、あるいはその性質や方法を指す。
【artscape:Artwords】



Titus Lab
琉球大学教育学部美術教育
titusspree.com
AIO
Art Initiative Okinawa
artinokinawa.com
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本研究は琉球大学 SDGs 社会課題解決研究プロジェクト経費の助成を受けたものです